ごま香る 変わり白味噌雑煮

一月も残り僅かになりました。
明日は、晦日正月(みそかしょうがつ)、
一月の最後の日です。

「正月」は、一般的には「お正月」を祝う期間のことですが、
一月の別名でもあります。

晦日正月には、地方によっては、
お年始に回れなかった親戚を訪ねたり、また、
お餅をついて神様にお供えしたり…という所もあるそうです。

お餅、といえば、
先日、日本全国各地のお雑煮の話で盛り上がりました。
地方によって異なる「食」に関する話の中で、
一番盛り上がるのが、お雑煮!

京都のお雑煮…白味噌仕立てのお雑煮は、
けっこう有名だと思います。
が、よく耳にするのが

 白味噌雑煮が「おいしく作れない…」「味が決まらない…」

というご意見です。

白味噌雑煮大好きで、お正月以外でも 白味噌雑煮を作って食べる私、
美味しい白味噌雑煮を作る秘訣をお伝えします。

一、上質の白味噌を使う

え~?! そんなこと!? と思われるかもしれませんが、
大事なことです。少々値段が張るかもしれませんが、いい材料を使った
上質の白味噌は、熟成による自然な甘みで、麹の香りがよく美味です。
水飴等で甘みを足しているものや、保存料の入っているものとは
一味違います。

一、白味噌はたっぷり目に使う

ふつうのお味噌汁を作る感覚で白味噌を入れては、足りません。
たっぷり…銘柄によりますが、だし2カップに100~140gを目安に、
お好みで味をみながら、溶かしてください。
白味噌の量が多いので、だし汁を白味噌に加えてゆるめてから
鍋に戻すとむらなく混ざります。

一、だしは、昆布だし

基本、お正月のお雑煮は 神仏にお供えするので 精進。
かつお節を入れずに昆布だしです。昆布の控えめなだしが、
白味噌の風味を引き立てます。
お好みで、かつおのだしでもよいのですが、いただくときに
削りかつおを散らすのがお勧めです。

一、味噌を入れたら、ぐらぐら煮ない

味噌を入れると、弱火で静かに熱し、ぐらぐら煮立てないように。
ふつふつして、全体が熱くなったら、火を止めて器に盛ります。
ぐらぐら煮立てたり、煮続けたりすると、香りや風味がとんだり、
濃度がついてもったりとしてしまいます。

一、餅以外の具は、あまり主張のない味のものを

京都では、お餅のほかは、頭芋(里芋)、大根と人参
くらいでしょうか。我が家では、頭芋だけです。
お好みですが、個性の強い味は控えたほうがよいかと…

一、仕上げに、ほんの少し塩を…

ほんの少し、塩を入れることで味がしまります。これはお好みで。

・・・
白味噌のお雑煮が美味しくできない という方、
上記の点を留意して 是非一度おためしください。

…ただ、白味噌があまり好きでない、という方もいらっしゃいます。
そんな方にも、また、白味噌好きの方にも人気の
変わり白味噌雑煮がこちらです。

shiromiso 

頭芋とお餅をごま油で焼いたものに
白味噌のおつゆ(お雑煮と同じもの)を合わせました。

ごま油で(フライパンで)焼いたお餅は、香ばしくて、
そのまま塩をかけただけでも、かなり美味しいのですが、
白味噌雑煮に入れると、上品なコクのある美味しさ。

余ったお餅で作ったら、大好評でした。

◆ ごま香る 変わり白味噌雑煮
 【材料】(2人分)
   お餅 2個、 頭芋 1/6~1/4個分(または里芋や海老芋 4個)
    ごま油 適宜、 昆布だし 2カップ、 白味噌 100~140g
    塩 少々、 青味(ゆで絹さや、または貝割大根など)
      
 【作り方】
   1.頭芋(または里芋など)は、7~8mm厚さに切り、食べやすく
      いちょう切りにする。
    2.フライパンにごま油を熱し、1の芋と餅を入れて塩をふりかけ
      弱めの火で ふたをして、じっくりこんがり焼く。
    3.鍋に昆布だしを入れて火にかけ、沸騰する前に、昆布を取り出し、
      白味噌を入れて溶かし、好みの味にする。
    4.2の香ばしく焼いた餅と芋を入れてさっと煮て、器に盛り、
      青味をちらす。

※ 頭芋は、こんなに大きいです。

kashiraimo

ちなみに、頭芋は品種ではなく、里芋の親芋のこと、
小芋に対する親芋です。
頭芋をお雑煮に入れる風習は、人の上に立つ「頭(かしら)」になる
願いを込めて。
ふつうの里芋ほど粘りがなく、ほくほくっとした食感です。

【今回使用したのはコチラ】
白ごま油275
(白)ごま油 

   

二十日正月・大寒・白ごま汁粉

きょう1月20日は、「二十日正月」です。
「二十日正月」とは、正月の終りとなる節目の日で、
早朝に、正月にお迎えしていた神々が お帰りになる日、
と考えられていました。

三が日が終わっても、
七日 (人日の節句)、
十一日(地方によって鏡開き、また藏開き)
十五日(小正月)
等など、お正月つながりの行事がありましたが、
いろいろあった行事も、二十日でいよいよおしまい。

「二十日正月」は、関西では、
別名「骨正月」「頭(かしら)正月」とも言われていましたが、
お正月に用意したブリや鮭などの魚の骨を、あら炊きや
粕汁などにして、いただく風習があることから来ているようです。

地方によっては、乞食正月・奴正月・アラ正月…などと呼ばれるそう。
呼び方は違えども、お正月の御馳走やお餅などを食べ尽くす習わしは
共通しているようです。

そして、もう一つ、
今年は、きょう1月20日が二十四節気の「大寒」。

「大寒」は、一年で寒さが最も厳しくなる頃、と言われていますが、
そのとおり、冷たく寒い日になりました。

二十四節気では、「大寒」の前は「小寒」で、
「大寒」のあとは「立春」。

「小寒」から「立春」までの間が「寒」。
寒中、とか、寒の内、とも呼ばれます。

寒稽古や、寒修行(寒行)はこの期間ですし、
冬の挨拶である「寒中お見舞い」も、この期間に出します。
年賀状を出しそびれたり、喪中だった方へのご挨拶は、
立春の前日(節分)までです。

また、寒中に汲んだ水は、「寒の水」と呼ばれ、
雑菌が少なく長期保存に向いているとされ、
「寒の水」で作った食品―味噌、醤油、酒は腐らないと言われたり、
とりわけ「大寒 」の早朝に汲んだ水は一年間腐らないと、
かつては、保管されていたとも聞きます。

なにはともあれ、寒さ厳しいこの時季、
風邪をひいたり…体調をくずされませんよう
あたたかくして、お過ごしください。

身体を温めるのに、一風変わったごま汁粉はいかがでしょう。
白ごま仕立てのやさしい味わいのお汁粉、
お餅が残っていたら是非、作ってみてください。
(残っていなければ、切り餅でどうぞ~)

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◆ 白ごま汁粉
【材料】(約2人分)
    白練りごま 大さじ2(約30g)、 砂糖10~20g、
    湯 約120cc(1/2カップ強)、 餅2個
    葛粉 小さじ1(または片栗粉)
    白すりごま 少々、 お好みで、シナモン少々

【作り方】
    1.小鍋に白練りごまを入れ、砂糖を加えて混ぜ、
      弱火にかけ、お湯を少しずつ加えて溶きのばす。
    2.葛粉をほぼ同量の水で溶いて、1に少しずつ
      加えてとろみをつける。
    3.お餅を焼いて、色よくこんがり焼けると
      器に入れて、2をよそう。
      お好みで上から、白すりごま、シナモンをかける。
   
  ※ 砂糖は、粗糖、黒砂糖、きび砂糖などお好みのものを
    使ってください。
 
【今回使用したのはコチラ】


ねり白150
練りごま(白)


すり白
すりごま(白)

 

雪見鍋~胡麻だれ添え

一月十五日、小正月です。

前日から降っていた雪が積もり、
朝から、京都市内は銀世界でした。

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この冬最強の寒波の到来という天気予報の通り、
久し振りの積雪。
朝から吹雪いたり、時折のぞく太陽が雪を照らしたり…と
交替で空模様が変化。

そんな雪舞う中、京都では恒例の都道府県対抗女子駅伝が、
全国各地で、センター試験が行われていました。

センター試験では、交通機関の遅れを案じ、また
女子駅伝は、開催の有無や道路のコンディションを心配されていた方々も
多かったことと思います。

駅伝の方は、融雪剤や大規模の懸命の除雪作業で無事開催され、
結果、京都が3年ぶり16回目の優勝を飾りました。
前が見えなくなるような吹雪の中の激走に心打たれ、
最終区では、岡山の選手の追い上げに、手に汗握るゴールでした。

お天気の方は、まだ寒さが続く様子、
皆さま、くれぐれもしっかり寒さ対策をし、
外出の際には、足元にお気を付けください。

さて、
寒い時季の定番の献立といえば、お鍋。
きょうは、ふわふわした雪のような見た目から
「雪見鍋」と呼ばれるお鍋をご紹介いたします。

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「雪見」は、白く降り積もる雪を眺めて楽しむこと。
雪に見立てるのは、大根おろしです。
たっぷりの大根おろしは、ビタミン豊富で、消化を助けてくれる
ジアスターゼたっぷりの食材。

胡麻の香りと風味のきいたたれで
いただきます。
お正月に疲れ気味の胃腸にうれしいお鍋、
是非お試しください。

◆ 餅入り雪見鍋~胡麻だれ添え
【材料】(約2人分)
   昆布だし 2カップ、A【酒・みりん 各大さじ1、
                 うす口醤油・塩 各少々】
    大根 約10cm、油揚げ 1/2枚、 白菜 4,5枚、
    ねぎ1本、 しめじ・えのきだけ各1パック、 餅 2個、
    胡麻だれ【白練りごま 20g、酒・醤油・みりん 各大さじ1弱、
    白すりごま 大さじ2~3、 ごま油 少々】、 ぽん酢 適宜
   
【作り方】1.油揚げ、白菜、ねぎを食べやすく切り、
        しめじ、えのきだけはほぐしておく。
      2.大根はおろしておく。お餅は焼く。
      3.鍋に昆布だし、A、大根おろしの汁を入れて煮立て、
        1を入れる。
      4.野菜が煮えると、お餅も入れて一煮し、大根おろしを
         加えて弱火で煮たてる。
      5.胡麻だれを混ぜて、お好みでぽん酢とともにいただく。

     ※ お餅と一緒にきのこも焼くと香ばしさが増します。

     ※ 具材は、ほかにお豆腐や豚肉、
        ありあわせの野菜やきのこなどでどうぞ。
     

【今回使用したのはコチラ】
白ごま油275
(白)ごま油 


ねり白150
練りごま(白)


すり白
すりごま(白)
 

お餅の肉巻き照焼き

少々遅い新年のご挨拶になりますが…
あけましておめでとうございます。

今年も、ごま油やごま製品を使ったいろいろな献立を
紹介していきたいと思います。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

2017年…平成29年のお正月、
皆さま、どんなお正月を迎えられたことでしょうか。

さて、
新しい年の初めの食卓といえば、お節料理にお雑煮。

お正月を祝う 日本の伝統料理であるお節ですが、
最近は、お節料理を食べない人が増えてきている、
と聞きます。

そして、お雑煮につきもののお餅ですが、
年末の風物詩である「お餅つき」が昨今、
衛生上の理由で、規制されてきているようです。

時代の流れとともに、食生活の多様化や環境の変化
はあるのでしょうが、
お節やお雑煮、お正月を祝う伝統は、これから先も
ずっとつづいてほしいものです。

お節料理というと、お煮しめにごまめに伊達巻に栗きんとんに…
と品数が多いのですが、色いろ用意するのがたいへんな時は、
三種の祝い肴…数の子、ごまめ、たたきごぼう(関東は黒豆)
とお雑煮があれば、とりあえず最低限のお正月の食卓が整います。

お雑煮は、北海道と沖縄を除く日本全国各地で、
室町時代頃から既に食べられていたようです。
当時、お雑煮は 宴などで一番最初に食べる縁起のよい料理だったそうで、
その習わしをもと、一年の始まりである元日にお雑煮を食べるようになった
というふうに言われています。

本州から移り住んだ人の影響で、いつのころからか、北海道にもお雑煮の
食文化はできたそうです。
ちなみに、北海道のお雑煮は、お醤油仕立てのおすましで
お餅は焼いた角餅、具はにんじん、ごぼう、三つ葉等の野菜等とか…。

日本全国、お雑煮の形は様々で、
お餅は、丸か角か、焼くか焼かないか、
おつゆの味付けは、すまし汁仕立てか、白味噌仕立てか、
具は、その地方の産物など、さまざま

お雑煮、とひとくくりにするのもどうかと思うほど、
多種多様です。
同じ都道府県でも、家庭によって、また違うので、
ある意味、お雑煮はおふくろの味に近いものがあるかもしれません。

さて、
お雑煮をいただいたあとのお餅は余っていませんか。
きょうは、お餅をつかったボリュームある一皿、
お餅の肉巻き照焼きをご紹介いたします。

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お餅の周りに肉を巻いてごま油で焼き、たれを
からめた、ごま香る一品。
お餅と一緒に入れた水菜のシャキッとした歯ごたえ、
爽やかな風味が、こってり目のたれによく合います。
是非お試しください。

◆ お餅の肉巻き照焼き
【材料】(約2人分)
   餅 2個、 塩・こしょう 各少々、  水菜 少々、 
   牛肉薄切り 100g、 片栗粉 少々、 ごま油 適宜
   A【酒・醤油・みりん 各大さじ1弱】
   白炒りごま 少々、 付け合わせ野菜(にんじんなど)
   
【作り方】1.お餅は半分に切る。
        水菜は、お餅より少し長めに切る。
     2.牛肉は4等分して、軽く、塩こしょうをふり、1の
        お餅と水菜をくるくる巻いて、巻き終わりに軽く
        片栗粉をまぶしておく。
      3.フライパンにごま油を熱して、 2の巻き終わりを
        下に入れて焼く。中弱火で、転がしながら全体に
        焼き目をつける。
      4.肉に火が通ると、Aを回し入れて、全体にからめる。
        お餅を爪楊枝でさしてみて、柔らかければ、
        器に盛る。(固い場合は、蓋をしてもう少し火をとおす)
      5.炒りごまを散らし、付け合わせを添える。

     ※ 付け合わせのにんじんは、1cm幅の輪切りにして
       サッと下茹でしたものを4で入れて、一緒に煮汁を
       からめる。
       にんじんのほかに、長いも、じゃが芋や、小松菜などの
       青菜も美味しいです。

     ※ 水菜がおすすめですが、ほかに、ねぎ、青じそなども…

       
【今回使用したのはコチラ】
白ごま油275
(白)ごま油 

 
いり白
炒りごま(白)

見通しのいい一年に

2016年12月31日、
今年も大晦日を迎え、残り僅かとなりました。

お正月の準備をしているご家庭も多いことかと思います。
我が家では、おせち料理をつめるお重箱、
年に一度登場するお重箱を出してきました。

お重箱におせちを詰めるのは
「めでたさを積み重なるように」という意味で縁起をかつぐためだそうです。

正式なお重は五段(または四段)ですが、
昨今では、ほとんど三段に簡略化されているよう。

詰め方には、だいたいの決まりがあって、
一の重には、祝い肴と口取り、
二の重には、焼き物と酢の物、
三の重には、お煮しめを詰めます。

一番上の一の重は、三種の祝い肴…
 …ごまめ、数の子、たたきごぼう(関東では黒豆)
 それから、口取りというのは、お屠蘇をくみかわす時に祝う
 いわゆる酒の肴的なもの …かまぼこや伊達巻、昆布巻き、
 栗きんとん・錦玉子等です。

真ん中の二の重は、酢の物…
 紅白なます・酢蓮根・ちょろぎ・菊花かぶ等、それから、
 ぶりの照焼きや鮭やさわらの西京焼きなど魚の焼きものです。

一番下の三の重は、煮物…
 お煮しめです。季節の野菜の煮しめが、おせち料理の始まり
 と言われており、野菜をふんだんに使った煮物を詰めます。

元旦に祝うおせち料理には、それぞれの料理に理由があり、
子孫繁栄や豊作、出世、長寿など、色いろな願いが込められているので
一つ一つの料理の謂れをかみしめながら味わってはいかがでしょう。

さて、様々な願いの中、見通しのよい一年を願った
れんこんの一品をご紹介いたします。

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花切りれんこんの梅和えです。
れんこんは、いくつもの穴が開いていることから、
先が見通せる、縁起のいい野菜とされています。

また、仏教とも関わりが深く、
泥水の中から清らかな花を咲かせるはすは、清純を表す象徴、
お節料理には欠かせない食材です。

ちょっとひと手間加えて、花形に切ったれんこんは
お節の食卓に華やぎを添えます。

れんこんならではの、さくさくした歯ざわりに
梅干しのさわやかな酸味とうまみ、是非お試しください。

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さて、
今年一年間、「今日(京)のおばんざい、なぁに。」を
お読みいただき、ありがとうございました。

来年も、どうぞよろしくお願い申し上げます。
2017年がよき年となりますように。
皆さま、どうぞよいお年をお迎えくださいませ。

◆ 花切りれんこんの梅和え
【材料】 (作りやすい分量)
    れんこん 1節(約200g)、 酢・塩 各少々
     梅干し 大2個、  A【うす口醤油・みりん・ごま油 各少々】
    白炒りごま 少々

【作り方】
  1.れんこんは、3~4cmの輪切りにしてから、
     穴と穴の間に切りこみを入れ、穴の丸みに沿って
     包丁を入れていき、花形になるよう一周する。
     厚さ3~4mmに切って、酢水にさらす。
  2.1を酢と塩を少々を加えた熱湯でゆでる。
  3.梅干しを包丁でたたき、Aを加え溶きのばす。
   4.2を3で和えて、白ごまをちらす。

  ※ 梅干しの塩分によって、お味見しながら調味料を
    加減してください。

【今回使用したのはコチラ】
白ごま油275
(白)ごま油 

 
いり白
炒りごま(白)

紅白なます~ごま風味

年明けまであと1週間となりました。
今回は、お節料理の中で、数少ない生でいただく野菜の一品、
「紅白なます」に焦点をあてます。

紅白なますは、ご存じのように、
紅色の人参と白色の大根を細切りにして 三杯酢であえたもの。

新しい年を迎えたおめでたさを表す紅色と
神聖・清浄をあらわす白色の組み合わせです。

お祝いの水引のような紅白がお祝いの席にふさわしく、
また、根菜のように根を張るように、
という意味も込められています。

大根とにんじん以外に入るものは、地域によって特色が見られ、
例えば、北海道の「氷頭なます」は、鮭の鼻の軟骨入り、
また、長崎県では くじら入り
兵庫県では 鯖のきずし(しめ鯖)入り…など、
いろいろななますが存在しているようです。

なにはともあれ、
濃い目の味付けのものが多いお節の中、
歯ざわりがみずみずしく、さっぱりした酸味は
爽やかな口当たりです。

作り方は、大根とにんじんを細切りにして、
ふり塩をしてかるくもみ、三杯酢で和える、
という簡単な手順ですが、ちょっとしたコツで、
見た目も、お味も美味しくなります。

まず、見た目。
大根とにんじんの色のバランスです。
赤い色は目立つので、控えめに入れる…2割くらいが
ちょうどいいバランスです。

それから、ニンジンの方が、目立つだけでなく、少しかたいので、
少し細めに切った方が、食感もバランスがいいです。

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こちらは、けっこう細め、かつらむきにしてから
細切りにしたものです。

切るのが苦手な方、あるいは、ちょっと雰囲気を変えたいときは、
ピーラーをつかってみるのも…

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ちょっとラフな感じで、サラダ感覚でいただけそうです。

にんじんを冬が旬の金時にんじんにすると
赤色が濃くて、おめでたい感じが増し、そして、
めりはりのある配色に。

中身をぬいた柚子の中に詰めて
柚釜仕立てにすると、お正月らしい雰囲気になります。
 
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なますの酸味や風味が苦手な方には、
にんじんに、ごま油を少し混ぜておくと、
ごま油の風味と香りで食べやすくなります。

また、油と一緒に摂ることで、
にんじんのカロチンの吸収もよくなります。

お節に、ふだんの一品に、
是非、作ってみてください。

◆ 紅白なます
【材料】 (つくりやすい分量)
    大根 250g、  にんじん 50g、 塩 小さじ1/2】
    A【酢 大さじ3、砂糖 大さじ1~2、うす口醤油・塩 各少々】
    ごま油 少々、 白炒りごま 少々

【作り方】
  1.大根とにんじんはそれぞれ千切りにして、塩でかるくもむ。
  2.しんなりすると、水けをしっかり絞り、
    にんじんにごま油少々をかけて混ぜる。
  3.Aの材料を混ぜて、1を和え、炒りごまを散らす。

【今回使用したのはコチラ】
白ごま油275
(白)ごま油 

 
いり白
炒りごま(白)

ごま松風~おせち料理に

師走に入ったかと思えば、あっというまに暮れも押し詰まり、
何かと心ぜわしい時節になってきました。

巷では、いろいろな場面で お正月の準備に・・・というような声が
だんだんと大きくなってきています。

年末年始は・・・クリスマス、年末の大掃除、年賀状、
仕事納め、お節料理…あれもやらねば、これもやらねば…と
何もできていないのに、気もそぞろの私です。

さて、年末が近づくと、新聞や雑誌で、デパートやスーパーの広告で
ネットで…おせち料理の予約を、数多目にします。
あっと驚くような高価で立派なお重から、手頃な価格のお重、
黒豆やお煮しめなど一品ずつのパック…
多種多様に販売されています。

お節離れが進んでいる、という話も聞きますが、
日本の食文化の伝統「お節」は受け継いで行きたいものです。
市販のものを上手に利用しながら、家庭に代々伝わってきた味を残し、
また、もともとあるお節をアレンジしたり…
楽しみながら、お節を作ったり味わったりできればいいですね。

今回は、お正月用の献立「松風(焼き)」を紹介いたします。
「松風」は、お節料理の定番、というわけではないのですが、
比較的簡単に出来て、冷めても美味しく、酒の肴にもなり、
子供にも人気の一品です。

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風流な名前は、能の「松風」という話に由来しているそうです。
京都には、「松風」という和風カステラのような和菓子もあり、
いくつかの和菓子屋さんで作られています。
お菓子の方の「松風」も似たような外観で、上にけしの実やごまが
散らしてあります。

日持ちのする和風ミートローフのような松風、
白と黒の炒りごま、それから彩りよく、青海苔をのせて
香ばしく焼き上げました。
高野豆腐が混ぜ込んであるので、とっても ヘルシーです。

◆ ごま松風
【材料】(4~5人分)
   鶏(豚)ひき肉 200g、 塩・こしょう 各少々、おろし生姜 少々
   高野豆腐 2枚(33g)、卵 小1個
   A【白練りごま・うす口醤油・みりん・酒・砂糖 大さじ1/2、
     白味噌 大さじ1】
   くるみ(炒ったもの)30g
   B【うす口醤油・酒・みりん 各小さじ2】
    白炒りごま・黒炒りごま 各適宜、 青海苔 適宜、  
【作り方】
  1.高野豆腐は、もどして水分をしぼり、おろし金ですりおろす。
    2.ひき肉に塩・こしょう、おろし生姜を加えて練り混ぜ、1も加えて
      よく混ぜる。
    3.溶き卵を加えて混ぜ、Aを加えてさらに混ぜ、最後にくるみを
      加えてオーブンペーパーの上に厚さ2cmくらいに四角くのせて
      210℃に熱したオーブンで10分焼く。
    4.Bを小鍋で弱火にかけて少し煮詰める。(または電子レンジで加熱して
      煮詰める。10秒ずつ様子を見ながら)
    5.3を一旦取り出し、4を刷毛でぬって、上に、白ごま、黒ごま、青海苔
      をのせて上から軽く押し、190℃に下げて10分ほど焼く。
    6.冷めると切り分ける。

※ 生地をつくるとき、材料をポリ袋に入れて外側からもみ込むようによく混ぜて
  も OKです。
 ※ フードプロセッサーがあれば、生地の材料を全部入れて混ぜてペースト状
  にすると 滑らかな生地になります。
 ※ ケーキ型、耐熱皿など、オーブンに入れられる型があれば、そこに生地を
   入れて焼くと、きれいな形に焼き上がります。 型にはごま油をうすく塗って
   おくと、出しやすいです。

【今回使用したのはコチラ】

ねり白150
練りごま(白)

  

 
いり白
炒りごま(白)


いり黒
炒りごま(黒)

こんにゃくの二色田楽~針供養の日に

はや12月です!
師走の京都…といえば、何が浮かびますか?

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こちらは、吉例顔見世興行の「まねき」
京の師走の風物詩の一つです。
「まねき」は、役者の名前を勘亭流で書いた白木。
長さ1.8mのまねきは、南座の正面にずらりと並べられます。

この威風あふれる建物、桃山風破風造の南座は、
江戸時代からつづく、日本最古の劇場。
南があるということは北も… かつては北座もあったそうです。

ちなみに、南座は現在、耐震工事のために休館中なので、
今年の顔見世興行は、初めて先斗町歌舞練場で開催されるそうです。
お間違えのないように。

さて、師走の行事は、いろいろあるのですが、
きょう12月8日は、針供養です。
(西日本は12月8日、東日本は2月8日に行われることが
多いようです)
針供養は、針の労をねぎらって感謝し、そして
お裁縫の上達を祈願する日です。

針仕事は、一昔前まで、とても大切な仕事であり、
また、日常的に欠かせない家庭の仕事でもありました。
この日には、針仕事を休み、針をこんにゃくや豆腐など
やわらかいものに刺して供養し、神社に納めたり、
川に流したりする、重要な行事だったのです。

京都では、十三詣りで知られる嵐山の法輪寺が
針供養のお寺として有名です。 
境内に用意された大きなこんにゃくに、色の糸をつけた針を刺して
…最後はやわらかなものを刺すことで、針をいたわり、供養します。

最近では、洋裁、和裁、あるいは刺繍などを仕事や趣味にする人以外、
だんだんと「針」は使われなくなっている、と聞きます。
私自身、洋服のボタンがとれたり、ちょっとした繕い物を
するときにだけしか針を出すことがありません。

とはいえ、長年使い続けた道具には、精霊が宿るといわれるので、
古くなったり、使えなくなったものに対して、
今まで活躍してくれたことに感謝してきちんと供養する
という風習、大切にしたいものですね。

さて、
今日は、針供養にちなんだ、こんにゃくの献立、
こんにゃくで作る田楽をご紹介いたします。
今回は、白味噌と白ごま仕立ての田楽味噌、
赤味噌と黒ごま仕立てのものと二種作りましたが、
どちらか一つでも…是非お試しください。

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◆ こんにゃくの二色田楽
【材料】(2~3人分)
   板こんにゃく 1枚、 塩 少々、 ごま油 少々、 
   白味噌・赤味噌 各大さじ1.5
   酒・みりん 各小さじ1~2
   白練りごま・黒練りごま 各小さじ2~3
   白すりごま・黒すりごま 各適宜

   
【作り方】1.板こんにゃくは、表面に格子状に切れ目を入れて、
        約3cm角に切り、軽く塩でもんで熱湯でゆでる。
     2.2~3分ゆでてから湯を流して、そのまま乾煎りする。
        水分がとぶと、ごま油少々を加えて一炒めする。
      3.白味噌に酒を加えて電子レンジで20秒くらい加熱して
        溶きのばしクリーム状にして、白練りごまを加え混ぜる。
        赤味噌とみりん、黒練りごまも同様に混ぜる。 
      4.2のこんにゃくに3のニ種の田楽味噌を塗り、上に
        すりごまを散らす。
        そのままでも、グリルやオーブントースターで軽く焼き目を
        つけても美味しいです。

※ こんにゃくは、下ゆでして、サッと炒めることで、特有の臭みが消え、
  風味がよくなります。
※ こんにゃくは、今回は一口サイズに切りましたが、お好みの大きさで
  作ってみてください。

【今回使用したのはコチラ】
白ごま油275
(白)ごま油 


ねり白150
練りごま(白)


ねり黒150練りごま(黒)


すり白
すりごま(白)


すり黒
すりごま(黒)

胡麻ごまフムス

最近、フムスという料理を、よく耳にします。
「フムス」…ご存じでしょうか。

いつの頃からかちょっと話題になっている
中東の伝統の豆料理で、いわば
「ひよこ豆のディップ」です。

何が話題なのかというと、まず、
原材料のひよこ豆が とても健康的な食材なのです。

ひよこ豆には、食物繊維はじめ鉄分やカルシウム・ビタミン類
等など健康や美容にいい成分がたっぷり。
生活習慣病や骨粗鬆症や貧血の予防、
疲労回復や精神安定や美肌に効果的、
それから便秘やむくみの解消 等などいいことづくめです。

ひよこ豆は、ガルバンゾーとも呼ばれ(スペイン語だそう)、
地中海一体では紀元前4000年ころには栽培されていたという
歴史あるお豆さん。
古代エジプト、古代ローマでは一般的に食べられていたそうです。

日本では長らく馴染みのない豆でしたが、
十数年前からよく目にするようになり、
乾燥豆、あるいは加熱して缶詰や紙パックで販売されています。
ほくっとした食感とくせのない風味は日本人にも好まれます。

そして、フムスの作り方ですが、
ひよこ豆にねりごま、オイルと香辛料をフードプロセッサーで
混ぜるだけ、というシンプルで簡単なものです。

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フードプロセッサーがなければミキサー、あるいはすり鉢、
それもなければ、多少滑らかさには欠けますが、
つぶして泡たて器などで混ぜるだけでもできます。

本来は、オリーブオイルを使うようですが、
くっきんぐせさみおいるで作り、
トーストしたフランスパンに塗っていただきました。

食べ方は、ほかに、
レタスやトマトなど野菜と一緒にはさんでサンドイッチに、
あるいは、セロリや人参な棒状に切った野菜を浸けて食したり…

また、豆乳で溶きのばして温めると、
やさしい味のスープになります。

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今年は11月17日にボジョレーヌーボーが解禁になりましたが、
ちょっとお洒落でヘルシーなフムスは、ワインにも合いそうです。

是非作ってみてください。

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◆ 胡麻ごまフムス
【材料】 ひよこ豆(ゆでたもの、水煮缶でもOK) 100g
   豆のゆで汁(または豆乳、あるいはだし、水)大さじ2~3
    にんにく 小1片、 白練りごま 大さじ2
    レモン汁 小さじ1~2、 塩 小さじ1/3、 こしょう 少々
   クミン(またはカレー粉)少々、  くっきんぐせさみおいる 大さじ1、
   チリパウダー 少々、黒すりごま 少々、
   いろどり(青じそ、パセリ等青み や、ピンクペッパー)お好みで少々

【作り方】 1.ひよこ豆とゆで汁をフードプロセッサーでペースト状にする。
    2.1に、にんにくのすりおろし、練りごま、レモン汁、塩と香辛料、おいる
      を加えてなめらかにする。好みで、クミン(カレー粉でも)を加える。
    3.味をととのえて、器に盛り、チリパウダーや黒すりごま、
      青みを飾る。
    4.フランスパン(バゲット)などをトーストして添える。
     (ほか、ビタパンやイングリッシュマフィンなどお好みのパンで…)

    ※ ひよこ豆のかたさによって、水分は加減してください。

▼ ひよこ豆は、乾燥をゆでるのがおすすめです。
 洗って、一晩(半日)水に浸けておき、たっぷりの水でゆで、
 沸騰してから30分ほど弱火で煮て、煮汁のまま冷まします。
 市販の缶詰とは、一味違うおいしさです。
 冷凍保存もできます。

【今回使用したのはコチラ】

ねり白150
練りごま(白)


cooking sesami oil

くっきんぐせさみおいる


すり黒
すりごま(黒)

大根のごま味噌煮~和食の日に

きょう11月24日は、いい日本食
             (1・1・2・4) で、
「和食」の日です。

3年前、2013年に、ユネスコ無形文化遺産に
和食(日本人の伝統的な食文化)が登録されて以来、
和食が注目を集めています。

海外でも、和食人気は高まっているようですが、
その一方、日本の家庭で、和食を作って味わう機会が増えている…
というわけではなさそうです。

和食、だしのうま味を含めた 伝統的な日本の食文化を見直し、
子供の世代に受け継いでいくことの大切さを考える
機会が増えれば…と思います。

味覚の基本は、甘味・塩味・酸味・苦味・うま味の五つです。
和食の味わいの中で、料理の味の決め手となるのは「だし」
うま味です。

だしのうま味は、日本が世界に誇る味覚。
ちなみに、英語では「うま味」に相当する表現がなく、
日本語の「umami」を代用している、と聞きます。

昆布、鰹節、干ししいたけなどを使っただしは、
美味しさは、もちろんのこと、うまみのおかげで
塩分を控えることができ、健康にも結びついています。

脳がうま味を感じると、消化吸収を促す指令を胃腸に出すので
食べ過ぎ防止にもなるそう。

また、うま味の成分は、脳神経を刺激するとも言われており、
うま味が舌から伝わると、脳は活性化して、
記憶力が向上したり、認知用の予防なども期待できるそうです。

私自身は、だしのにおいが台所にたちこめると、
ほっとして、気持ちがやすらぎますが、
実際に、情緒が安定する働きも認められているそうです。

・・・いいことづくめのだしのうま味!!
「和食の日」にちなんで
今日は食卓にだしの「うまみ」のひと皿を加えてみました。

旬を迎えて、美味しくなる大根の煮物、
短時間で手軽にできるごま味噌煮を作ってみました。

だしのうまみと、ごまの香ばしさで味が決まります。
ぜひお試し下さい。

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◆ 大根と油揚げのごま味噌煮
【材料】(3~4人分)
   大根 1/2本(500~600g)、 油揚げ 1枚
   ごま油 小さじ1~2、 酒・みりん 各大さじ1
   塩・うす口醤油 各少々、
   だし 1カップ強、 白練りごま 大さじ1.5
   味噌 大さじ1~2、 白すりごま 大さじ2~3

【作り方】 1.大根は縦4つに切ってから乱切りにする。
      油揚げは食べやすく切る(今回は 3cm角の正方形)
    2.鍋にごま油を熱し大根を入れ塩少々を振り入れて
      ひと炒めする。
    3.酒、みりんを入れ煮立つと、だしを大根がひたひたになる
     くらい入れ、うす口醤油、油揚げも入れて10分ほど煮る。
    4.味噌、練りごまを加え混ぜて、煮汁が少なくなるまで5分ほど
      煮る。味をととのえて、火を止めてすりごまを加え混ぜる。
    5.器に盛り、青みを散らす。(大根葉のゆでてきざんだもの、
     あるいは、刻みねぎや刻み三つ葉など)

    ※ 味噌は、白味噌とふつうの味噌を混ぜて使いましたが、
      お好みの味噌で作ってみてください。
      お味噌によって味がいろいろなので、みりんや醤油の量を
      加減してください。
    ※ 今回は、油揚を入れましたが、大根だけでも美味しいです。
      お好みで、豚肉など加えるとボリュームアップします。

【今回使用したのはコチラ】
白ごま油275
(白)ごま油 


ねり白150
白練りごま


すり白
すりごま(白)