最近、ちょっと精進料理に凝っています。
一般的に、精進料理といえば、魚や肉を食べない、
野菜と米と豆製品中心の、あっさりした単調な献立。
ともすると、
地味、食べごたえがない、あるいは難しい…
…というようなイメージがあります。
が、実際いろいろな精進料理を作ったり、食べたりするうち、
そのイメージは一新されます。
魚と肉は使いませんが、身近な材料を一工夫することで、
そしてなにより、旬の素材の持ち味を生かすことで、
バラエティに富んだ美味しい献立が多いのです。
見た目も味も 季節感が感じられるような、そして
地味ではなく、滋味、しみじみとした味わいがある 精進料理。
そもそも、精進料理というのは、
禅僧が修行で食べる、簡単な一汁一菜の食事でした。
仏教の教えで、殺生を戒め、獣肉魚介類を使わず、
穀類、豆類、野菜、海藻などの食材だけで料理されていました。
それが次第に 仏教の各宗派独自の精進料理が発展して、
歳月とともに、日本の風土と食材をいかして工夫され、
現在の、多様で美味しい精進料理を味わうことができるようになりました。
単に、肉や魚を食べないだけでなく、
大切なのは、食材を余すことなく使いきり、無駄を出さずに生かし、
そして、作物の実りを育んでくれた自然に感謝することです。
材料が限られているので工夫するのも大切のことです。
精進料理には、もどき料理といって、
肉や魚の料理に似せたものがあります。
有名なところで、がんもどき。
関西では、ひろす(飛龍頭)と呼ぶことが多いですが、
がんもどき=雁もどき≒雁の肉に似せたもの
お豆腐と山芋を主原料に作ります。
だいたい、雁の肉がどんなものか知らないので
似てるのかどうか、わかりませんが、比較なしで、
雁もどき(ひろす)は、それ自体美味しいものです。
(以前に作り方を紹介しております→ 手作り飛龍頭 )
ほかに、うなぎの蒲焼もどきもあります。
(→ 蒲焼き丼 )
これは、海苔とじゃが芋で作っています。
味が うなぎの蒲焼に似てるとは言い難いのですが、
また違う美味しさがあります。
こんなふうに、精進料理を美味しくしている素材の一番は、
「ごま製品」だと私は思うのです。
上の二品は、どちらもごま油の力で、風味とコクと
ボリューム感が出ています。
他にも、練りごま、炒りごま、すりごま、
いずれも、精進料理には欠かせないもの。
素材の持ち味をいかす 精進の薄めの味付けに、
香り・風味・コクを加えてくれます。
栄養面でも、精進では不足しがちなタン白質や脂質を
補ってくれるのです。
さて、きょうは、ごまと厚揚げと生しいたけを使って、
精進の坦々麺をつくってみました。
豚肉なしでも、ごま油と練りごま、すりごま、ごまらあ油で
美味しく出来ますので、是非お試し下さい。
◆ 精進 黒ごま坦々麺
【材料】(約4人分)
中華麺 約4玉、 生姜 1かけ、 長ねぎ1本
厚揚げ 1個(約100g)、 生しいたけ 4個、
ごま油 大さじ1~2、 豆板醤 小さじ1/2~1、
黒練りごま 大さじ5、 ガラスープ 4カップ
うす口醤油・濃口醤油・みりん 各大さじ1、
塩 少々、 黒すりごま 大さじ4
青ねぎ(または青梗菜など青み) 少々
ごまらぁ油 少々
【作り方】
1.生姜はみじん切りにする。
長ねぎは5cm分を飾り用の白髪ねぎにし、あとはみじん切りに。
2.鍋に、生姜と、長ねぎのみじん切りの半量を入れ、
ごま油で炒め、香りが立つと、豆板醤、粗く切った厚揚げと、
あらみじんのしいたけを加えて炒める。
厚揚げはつぶすように炒めて、水分をしっかりとばす。
3.2に黒練りごまを加えて全体にからめ、ガラスープを入れて
ときのばす。煮立つと、醤油とみりんを加えて塩で味をととのえ、
長ねぎのみじん切りの残り半分と黒すりごまを入れて一煮し、
青み野菜を入れて火を止める。
4.中華麺をゆでて、器に入れ、上から3をかける。
上に白髪ねぎ(赤ピーマンの薄切り)をトッピングして、
黒すりごまをちらして、ごまらぁ油を加える。
【今回使用したのはコチラ】